宇多川久美子著「薬剤師は薬を飲まない」を読みました。
西洋医学の父、医聖と呼ばれているヒポクラテスの言葉に「人間は自らの中に100人の名医を持っている」というのがあります。つまり、自然治癒力があるということです。風邪を引いた時、熱は風邪のウイルスが出させているわけではなく、免疫力を最大限に発揮して、熱に弱いウイルスと闘うために、私たちの身体が自ら熱を出しているのだそうです。つまり、自然治癒力の一環として、熱を出しているのです。
著者は薬剤師として仕事をしてきた体験から、「薬で病気を治すことができない」ということを学びます。薬で症状を抑え込むことができますが、一方で薬は身体の自然治癒力を奪い免疫力を下げてしまっているのではないかと疑問に持ち、生き方が変わります。
著者は「1に運動、2に食事、最後に薬」ということを提唱し、病気を根本から治すため、デューク更家氏に弟子入りし、「ウオーキングを教える人」になろうとします。著者自身、姿勢は悪く、歩き方もきれいではなく、ゼロからのスタートで修行をしました。
実は著者は大学生の頃から頭痛と肩こりに悩まされ、頭痛薬を手放すことが出来なかったそうです。整形外科医からは「頚椎がずれていて、そこから来る痛みだから治しようがない」と言われ、頭痛薬や鎮痛剤を日常的に服用していたのです。そして、薬の量も友達から「そんなに飲んで大丈夫?」と言われるくらい増えました。そんな薬漬けの日々が30年続き、デューク更家氏に弟子入りした時も、7種類の薬を1日17錠も飲むことがあったそうです。
生活習慣病の人には薬を遠ざける指導をしながら、自分は頚椎のずれから来る持病だから仕方がないと薬を飲む矛盾した生活をしていたのですが、ウオーキングの修行で首をスムーズに回せるようになり、薬が必要なくなったというのですから驚きです。
参考になることがたくさん書いてあったのですが、免疫力を高めるために体温を上げることについての大切さが印象に残りました。そのためにはウオーキングをしてインナーマッスルを鍛えることや、肩甲骨の運動が有効だそうです。肩甲骨の周りには褐色脂肪細胞が多く存在し、褐色脂肪細胞は熱を生み出し、全身に暖かい血液を送り出す働きをするのだとか。
癌対策に、肩甲骨の運動をして身体を温めことも、免疫力を高めることになっていいかもしれません。肩甲骨は「健康のコツ」だって?